これまでに撮影したトンボ達~最終回・サナエ編~
2012.03.31 - Sat
今回で最終回となる七回目!!サナエの仲間をご紹介します(^^)近畿には22種が棲息していますが、まだ16種しか確認できていません。しかも♂のみや♀のみも多いので、今年最も強化しなければならないのがこのサナエの仲間。
琵琶湖で見られるメガネサナエ属や、ホンサナエ・キイロサナエ等の流水サナエを頑張って探したいところです!!(`Д´)ノ
・・・ミヤマサナエはどこを探せばいいんでしょう・・・。(泣)


ヤマサナエ(上♂、下♀)2011年6月(♂)、2011年7月(♀)、地元周辺(♂)、兵庫県北部(♀)にて撮影。
初夏頃に見られる、やや大型のサナエ。キイロサナエと似るが、本種は体型がややがっちりしており、胸部の黒条が翅の付け根まで達する点で見分けられる(キイロサナエは途中で途切れるか、達したとしても黒条は先細りになる)。それでも判別し辛い場合は、尾部付属器や産卵弁の形状で判別すると確実。河川や湿地に生息し、ヤゴは一か所に固まっていることが多い。♀は産卵期まで水辺には来ず、林道などで過ごす。


ダビドサナエ(上♂、下・黒条発達型の♂)2011年5月(♂)、2011年7月(発達型♂)、地元周辺(♂)、兵庫県北部(発達型♂)にて撮影。
春先に小規模な河川で見られる小型のサナエ。近似種のクロサナエとは胸部の黒条で見分けられるが、本種の中には黒条が発達した写真のような個体も見られるので、同定の際は腹端の形状や腹斑で見分ける方が確実。


クロサナエ(上♂、下♀)2011年7月、兵庫県北部にて撮影。
名前の通り体全体が黒っぽい小型のサナエ。本種とクロサナエのヤゴは混生するが、成虫は棲み分けを行っており本種の方がより上流部で見られる。これは本種のヤゴがダビドサナエに比べてより下流に流下する為と思われる。そのため、本種は羽化場所からかなり上流で見られる事が多い。


ヒラサナエ(上♂、下♀)2011年5月、兵庫県北部にて撮影。
高層湿原の流水域に生息する小型のサナエ。オタカラコウやフキが自生する環境を好む。排他性が非常に弱く、シーズンになると1枚のオタカラコウの葉の上に無数の個体が制止している所が見受けられる。兵庫県では数が激減しており、RDではAランクに位置付けられている。産卵・孵化・羽化というサイクルを産まれた場所から離れずに行うため、別血統の血が入らず、奇形個体が見られる事が多いのも本種の特徴の一つ。

ヒメクロサナエ(♂)2011年7月、兵庫県北部にて撮影。
河川上流部~源流部に生息する小型のサナエ。胸部に太い1本の黒条が入っているのが特徴。普段は樹上(樹冠部)で生活しているため、人の目に触れることは殆どない。また、ヤゴは流下するものとしないものがいるらしく、生息域の判別をより困難にしている。


タベサナエ(上♂、下♀)2011年5月、地元周辺にて撮影。
本来は止水域に好んで生息するが、流水域でも適応出来るタフなサナエ。水質もあまり問題にならないようで、グンバイトンボやコシボソヤンマが生息するような清流から、ヤブヤンマが生息するヘドロ底の沼地でもよく見かける。最も早い時期に羽化を開始するトンボの一つで、早い年は3月半ば、遅くとも4月半ばには羽化が観られる。春のトンボだが、昨年は7月下旬頃まで普通に見られた。本種を含むコサナエ属4種は非常によく似るが、胸部の模様、腹端の形状などで見分ける。


コサナエ(上♂、下♀)2011年5月、兵庫県北部にて撮影。
兵庫県では日本海側でしか見る事ができないサナエ。皿状になった大きな池に生息し、未成熟期は周囲の草むらや林で摂食しながら過ごす。フタスジサナエとは棲み分けを行なうことが多いが、稀に混生している場所もあるらしい。


フタスジサナエ(上♂、下♀)2011年5月、地元周辺にて撮影。
止水域に生息するサナエ。皿状の大きな池からすり鉢状の深い池、湿地状の浅い池にまで適応するため、兵庫県では比較的見かける事が多い。また他のコサナエ属のうち、タベサナエ・オグマサナエと混生する事も多い。羽化はオグマサナエよりも一週間ほど遅れるというが、昨年はタベサナエと同じ時期に羽化を開始、かなり早い時期から発生していたようである。全国RDでNT。

オグマサナエ(♀)2011年6月、地元周辺にて撮影。
すり鉢状の深い池に生息するサナエ。全国的に数が減っており全国版RDではVUにランク付けされるが、兵庫県は比較的山地が多いらしく、RD登録はされていない。にも関わらず、他のコサナエ属3種に比べて見かける頻度が滅法少ない。本種のヤゴは水深のある場所に棲息しているらしく、お目にかかる事は少ない。

オジロサナエ(♂)2011年7月、地元周辺にて撮影。
胸部の黒条がYの字にクロスしているのが特徴の小型のサナエ。小規模で勾配の小さな河川に棲息し、初夏~夏場にかけて活発に活動する。♂は河川の石の上で縄張りを形成、♀がやってくるのを待つが、警戒心が非常に強く、一度驚かせて樹上に飛び去ってしまうとかなりの長時間降りてこない。

ヒメサナエ(♂)2011年7月、兵庫県北部にて撮影。
初夏頃河川上流部で見られる小型のサナエ。勾配の小さな河川を好むらしいが、観察地は勾配がかなりあり、流れも急だった。兵庫県のRDではBランクに位置付けられる貴重種で、生息地はかなり少ないらしい。ヤゴはサナエ科の中でも特に長距離を流下することで有名で、探すならばアオサナエやヤマサナエが棲息するような河川中流部を狙うしかない。

アオサナエ(♂)2011年6月、兵庫県中部にて撮影。
初夏に河川中流部で見られる中型のサナエ。体全体が緑色をしている。兵庫県ではRDでCランクに位置付けられるが、近年更に数を減らしているらしく、環境が整っていても中々見られない。水が綺麗でないと生息できないようで、観察地ではアオハダトンボと混生していた。

オナガサナエ(♂)2010年9月、地元周辺にて撮影。
夏場、流れのある砂礫底の河川中流部に棲息するとされる中型のサナエだが、観察地は山奥の池で、無数の♂が縄張りを形成していた。腹部先端がハサミムシのような形状になっているのが本種最大の特徴。ヤゴは流れのある砂礫底の河川の石の下に潜み、下流に網を立てて石を蹴飛ばすと面白いように採集できる。

コオニヤンマ(♂)2011年7月、地元周辺にて撮影。
本来流水域を好む大型のサナエで、オニヤンマの名が付いているが全くの別種。河川のやや上流部からやや下流にまで幅広く適応する他、池に飛来して縄張りを形成している♂個体もよく見かける。大型な上に獰猛なため、同じ流域に棲息する他のサナエ属は格好の餌食になってしまうらしい。未成熟個体はかなり標高のある林道などでよく見かける。


タイワンチワヤンマ(上♂、下♀)2010年8月(♂)、2011年8月(♀)、地元周辺(♂)、岡山県南部(♀)にて撮影。
本来は南方に棲息する種だが、地球温暖化によって年々北の方での生息域を広げているトンボ。兵庫県でも30年ほど前までは殆ど見かけなかったらしい。ウチワヤンマに似るが、本種のウチワ(腹端部)は内側まで真っ黒(ウチワヤンマは内側に黄色いラインが入る)。午前中♂は池の上を活発に飛び回る姿を見かけるが、午後になると適当な場所に制止して縄張りを形成、♀がやってくるのを待つ。本種とウチワヤンマは混生するが、本種はより植生の豊富な池を好む傾向がある。

ウチワヤンマ(♂)2011年7月、兵庫県北部にて撮影。
腹端にあるウチワ型が目を引くサナエ。ヤンマの名前が付いているが、本種とタイワンウチワヤンマは複眼が離れているなどサナエ科の特徴を多く有し、れっきとしたサナエの仲間である事がわかる。本種とタイワンウチワヤンマのヤゴは非常に深い場所に棲息しており、ヤゴが採集されるのはごく稀な例を除けば琵琶湖の貝曳き網程度。本種はそういった生態のためか、成虫もあまり植生を必要としないように感じられる。また、タイワンウチワヤンマよりもやや早い時期に最盛期を迎える。
以上、サナエ科でした!!
七回に渡るシリーズもこれで最後となりましたが、振り返ってみると、
トンボって奥が深い・・・(゜Д゜)
と改めて痛感させられました。また、このシリーズ全てに目を通していただいた方ならすぐにお解りになると思いますが、僕の知識にはかなり偏りが見られるようです。(苦笑)
やはり羽化を観察したり、現地で♂・♀どちらの個体も確認、産卵まで観察した種はかなり詳しく知る事が出来ているように思います。逆に偶然捕獲しただけの種などは、図鑑から得た知識のみになってしまっています。
また、お気に入りの種に関しては写真も知識も豊富にあるのですが、普通種は雑に扱う傾向があるようです。これではいかん・・・。(´Д`)
さらに、書き始めのヤンマ科は少ない文章で終わらせていたのに対し、書き進むにつれて徐々に文章量が多くなってしまったのも・・・なんだかなぁ。(苦笑)
高知県他南の方では既にタベサナエやシオヤトンボの羽化が観察されており、兵庫のトンボシーズン開幕も間近に迫っていますが、今年の目標に、
・普通種もしっかりと愛でる。
・雑な写真を減らし、特徴がきっちり判る写真を撮る。
・生態写真をもっと増やす。
以上3点を追加したいと思います。(^^;)
昨日は20度に迫る暖かさを記録しましたが、今年のトンボシーズン開幕はいつになるのでしょうか!?
今から待ちきれません!!(^▽^)
コメント
すわ!
乗り遅れました(;^^)何というスバラシイ企画!!
これからじっくり(遡って)楽しませていただきます。
これからじっくり(遡って)楽しませていただきます。
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